不妊症と漢方薬
不妊症とは
通常の夫婦生活を営んでいれば90%近くは妊娠するとされていますが、不妊症は妊娠を望む夫婦にとっては深刻な問題です。
不妊治療の方法として体外受精や顕微授精などが大きく進歩しています。これらの治療法によって妊娠に成功したカップルの例は多いです。
しかし、このような不妊症の治療は肉体的にも精神的にも負担が大きく、できれば自然な妊娠を、と望むカップルが多いことも事実です。
不妊の理由として、生殖器の機能が低下していることや、ホルモンバランスの乱れなどから、身体が妊娠に対する準備ができていない、
というような解釈もあります。
不妊症に対する漢方薬の目的は、妊娠・出産に耐えられる身体づくりという側面があります。
不妊症の原因
不妊症の原因は男性側にある場合と女性側にある場合があり、割合は男性側が約35%、女性側が約45%、 明らかでない場合が約20%です。
男性のばあい、精子の数が極端に少ない(乏精子症)、全くない(無精子症)、あるいは活発に運動する精子が少ない(精子無力症)など。
女性の場合、卵子が出てこない(排卵障害)、卵管に問題がある場合(卵管障害)、子宮に問題があり着床しない場合(着床障害)など。
不妊症と漢方薬
漢方薬による不妊治療について、ここでは女性側への適応について述べます。
漢方による不妊治療は、前述したとおり「妊娠・出産に耐えられる身体作り」が目的となります。
不妊症の女性は月経異常・生理痛・下腹部の冷えや痛みなどがあるケースが多く、お血を取り除き、これらの症状を改善することが先決です。
また、基礎体温を測って排卵日を特定し、それにあわせて性生活を送るという、
基本的な方法をきちんと実践するだけでもかなりの効果があります。
ある医院では、不妊治療にこの方法を指導するだけで約60%は妊娠に成功しています。
体質改善のために漢方薬を服用することは、このような方法を補強ためにも有効でしょう。
不妊症に適応される代表的な漢方薬は次のとおりです。
当帰芍薬散 | とうきしゃくやくさん | 虚証 | 冷え症・貧血・下腹部の痛み・耳鳴り・動悸のある人。痩せ型の人で不妊症に広く用いられる。 |
桂枝茯苓丸 | けいしぶくりょうがん | 実証 | のぼせ気味・足の冷え・下腹部の痛み・肩こり・頭痛・めまいのある人。子宮内膜炎などに。 |
桃核承気湯 | とうかくじょうきとう | 実証 | のぼせ気味・便秘・足腰の冷え・尿量の少ない人 |
加味逍遙散 | かみしょうようさん | 虚証 | 肩こり・不眠・頭痛・めまい・のぼせ・倦怠感のある人。ストレスを強く感じている人。 |
妊娠しやすい身体をつくるためにできることは?
妊娠しやすい体質をつくるためには、卵子の質を向上させることが大切だと言われています。
しかし、現代では生活習慣・食生活の乱れから、身体が冷えて妊娠しにくくなっている方が多いようです。
体質改善のためには漢方薬はもちろん、生活習慣の改善も必要です。
また、不妊に効果のあるツボを暖めることで、子宮への血流を改善する効果があるそうです。
妊娠しやすい身体づくりに最適のツボについては、こちらをご覧ください。


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このサイトでは症状別に適応される漢方薬についても説明しています。
しかし、漢方薬は基本的に、専門知識を持った人が、患者の体質など「証」を見極めて処方するものです。
安全で効果を最大限に発揮するためにも、必ず専門の医師・薬剤師にご相談のうえ、漢方薬を利用されることを強くおすすめします。
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